(動画更新)制作者に聞く! ~番組制作の現場から~土曜ドラマ『探偵ロマンス』開催報告(2024.2.17)
NHK土曜ドラマ『探偵ロマンス』の制作者によるセミナーを2月17日に開催しました。
『探偵ロマンス』(全4回)は、まだ何者でもない若き日の江戸川乱歩を主人公としたオリジナルドラマです。ドラマの中には江戸川乱歩作品へのオマージュがちりばめられており、乱歩ファンにとってはたまらない作品となっています。
一方、江戸川乱歩作品は未読の私も、ドラマの中の妖艶な世界と、現代の日本にも通ずる閉塞感が織り交ざる二面性にすっかり魅了されてしまいました!
<番組の詳しい概要はこちらの記事をご覧ください>
セミナー前半は、『探偵ロマンス』第1話を上映。後半は制作スタッフが登壇し、番組誕生のきっかけや、美術のこだわりなどを語っていただきました。
『探偵ロマンス』は「海外の人にも見てもらえるクリエイティブな作品」というテーマで企画募集があり、採用された作品だったとのこと。
企画提案者でもある演出・大嶋慧介さんは「元々、ドンパチやチャンバラが好きで、そんなドラマを作りたいと思っていたが、現在の日本を舞台にするのは様々な制約があるため難しく、大正時代に設定した。当初は、実在した私立探偵の岩井三郎を主人公で考えていたが、江戸川乱歩も探偵事務所に弟子入りしようとしていたことを当時の資料で知って、2人のバディものとして企画した」との誕生秘話を明かしました。
数々の名作ドラマを手掛けている制作統括・櫻井賢さんは「無謀な企画だった」と当時を振り返りながら、タイトな制作スケジュールやキャスティングなどの様子を教えてくれました。主演の濱田岳さんについては、「江戸川乱歩はとても人間的な方で、平井太郎(江戸川乱歩と名乗る前・この作品での主人公)は現代の若者とシンクロする部分があり、濱田岳さんに演じてもらえたら、うまくいくと確信した」とオファーの理由を語りました。また、脚本の坪田文さんに関しては「普通のドラマだったら、探偵の岩井三郎を明智小五郎のモデルにするだろうが、平井太郎の『これ(明智小五郎)は僕の分身なんだ』というニュアンスのセリフを読んだ時に驚嘆した」と絶賛。
また、『探偵ロマンス』は、美術、照明、衣装などが連携して“華美でありながら陰のある”世界観を創り上げていました。
美術・瀨木文さんは、年度において最も優れたテレビ美術が成された作品に与えられる「伊藤熹朔賞本賞」を受賞されています。
瀨木さんは、台本が出来る前に作品のイメージをスタッフ同士ですり合わすために作成した「イメージボード」を見せながらセットや小道具を解説。放送後の反響については「SNSでエゴサーチをしたところ、他の作品よりも美術に関しての評価が驚くほど多く、有り難かった」と語りました。
「このセットにはこういう意味があったのか!」と、私はドラマをもう一巡したくなりました。
他にも…ドラマの世界を彩ったロケ地(関東設定なのにオール関西!)の紹介や、アクションシーンの舞台裏、3名の登壇者と作品のファンでもある司会のペリー荻野さんが選んだイチオシシーンの解説など盛りだくさんの内容でした。
参加者の方からのアンケートでは、続編を望む声が多く、私も今後の展開に期待を膨らませている一人です!
また、放送ライブラリーでは今回登壇していただいた櫻井賢プロデューサー制作のドラマや、江戸川乱歩原作のドラマを公開しておりますので、ぜひ、放送ライブラリーの視聴ブースをご利用ください。
また、NHK広報局のnoteでは、大嶋さんと瀨木さんほか制作スタッフの「探偵ロマンス」の記事を読むことができますので、ぜひご覧ください!
(2024.3.22更新)
YouTubeに本セミナーの模様を公開いたしました!ぜひご覧ください。