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(動画更新)座談会「放送作家と振り返る1980年代!」レポート(2023.9.24)

放送ライブラリー企画展「テレビとCMで見る 1980年代!」(10月1日まで開催)の関連イベントとして、座談会「放送作家と振り返る1980年代!」を9月24日に日本放送作家協会と共催で開催しました。

物心ついたのは90年代、80年代の番組はリアルタイムで見ていないアーカイブ兼企画展担当のNがレポートします。

登壇者は1980年代から今も現役で活躍されている放送作家3名です。

トーク番組『オシャレ30・30』(日本テレビ/1987-1994年放送)をはじめ、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送/放送中)など数々の人気番組を担当する藤井青銅(ふじい・せいどう)さん。

『料理バンザイ!』(テレビ朝日/1982-2002年放送)など料理番組の構成のほか、エッセイ、小説など幅広い執筆を手掛ける前・日本放送作家協会理事長のさらだたまこさん。

『オレたちひょうきん族』(フジテレビ/1981-1989年放送)から、『笑う犬』シリーズ(フジテレビ)、『サラリーマンNEO』『LIFE!』(NHK)など多くのコント台本を手掛ける現・日本放送作家協会理事長の内村宏幸(うちむら・ひろゆき)さん。

テレビが時代をリードした1980年代。SNSやネットの普及による放送離れが言われる今、当時の思い出や印象に残っている番組を自由に語っていただきました。

◆歌番組のセオリーを変えた『ザ・ベストテン』

まず、80年代のテレビ番組を語る上では欠かせない『ザ・ベストテン』(TBS/1978-1989年放送)について盛り上がりました。藤井さんは「ランキング形式の音楽番組だけど、ドキュメンタリーとして見ていた。普通、音楽番組は歌に入ると、そのまま歌の尺だけ“何も起こらない”(普通に歌を歌って終わる)という予想がついてしまうので視聴率が下がる。しかし生放送の『ザ・ベストテン』は“今日は都合で出られない”とか、新幹線の中で歌ったり、何が起こるかわからない。だから皆が釘付けだった。」と、高視聴率の要因を分析しました。
これまでの歌番組のセオリーを変えた『ザ・ベストテン』。今もなお語り継がれる伝説番組ということに納得です!

◆完璧に作り込まれた『8時だョ!全員集合』とアドリブだらけの『オレたちひょうきん族』

一世を風靡した対照的な2つのバラエティ番組『8時だョ!全員集合』(TBS/1969-1985年放送)と『オレたちひょうきん族』(フジテレビ/1981-1989年放送)についての話も。
生放送かつお客さんの前でコントをする『全員集合』は台本をしっかり作りこみ、ちゃんと稽古をする。コント台本が採用されるのがとても厳しく、放送作家泣かせだったそう。
対して、『ひょうきん族』は台本はあるけど、ほとんどアドリブ。出演者がその場で思いついたことをやり始める。どちらも土曜の夜8時に放送していたので、「どっちを見るんだ?」と論争が起こったとか。
最後の1年、番組の構成に関わった内村さんは「『ひょうきん族』のスタッフクレジットはミドルネームがあり、“内村イトコ宏幸”(ウッチャンナンチャン・内村光良の従兄なので)とつけた。クレジットが流れてやっと親に認められた感じがした。」と自身の駆け出しの頃を懐かしそうに振り返りました。

◆現在のニュース番組の礎を築いた『ニュースステーション』と80年代の天才たち

85年に始まった『ニュースステーション』(テレビ朝日/1985-2004年)はそれまでバラエティ番組やドラマを放送していた平日22時台にスタートしました。現在はニュースの時間帯として違和感はないですが、この当時はかなり思い切った舵取りだったそう。ただ原稿を読むのでなく“個性を出して喋る”ショーアップされた構成で、TBSからフリーアナウンサーとなった久米宏さんが司会を務めていました。
さらださんは「当時、トーク番組『おしゃれ』(日本テレビ/1974-1987年放送)で久米さんと一緒に仕事をしていた。久米さんは『ニュースステーション』に出演していて、とても多忙だったので『おしゃれ』の台本はほとんど読んでいなかったが、本番の収録は完璧にこなす。本当に天才。こういう久米さんや、タモリさん、明石家さんまさん、ビートたけしさん、所ジョージさん、黒柳徹子さんのように番組を任される人たちが出てきたのが80年代だった。」と放送作家として当時感じていたことを語りました。

1人が当時の思い出を語ると、2人がそれぞれ反応し、どんどん話が膨らんでいく…。まるで3名の普段のお仕事である番組づくりを見ているようでした。
今回レポートした内容はほんの一部ですので、ぜひYouTubeもご覧いただければと思います。

80年代当時をよく知らなかった私も、チャレンジ精神とパワーに満ちた多種多様な番組がたくさん生まれた時代ということがよくわかりました。これからもいろいろな番組を発掘していきたいです。

今回、話に挙がった番組は放送ライブラリーで公開しているものもありますので、企画展終了後も8階視聴ブースでぜひご視聴ください!