企画展&公開セミナーレポート「あぶない刑事」
放送ライブラリーでは、1月26日まで特別展示「HISTORY OF ABUDEKA 『あぶない刑事』ヒストリー 1986~2024」を開催中です!
『あぶない刑事』は、横浜・港警察署を舞台に、スタイリッシュで型破り、危険な匂いのする破天荒な刑事、鷹山敏樹(タカ・舘ひろし)と大下勇次(ユージ・柴田恭兵)の最強バディが、粋なジョークとクールなアクションで大活躍する刑事ドラマです。
刑事ドラマでありながら、1980年代のトレンディドラマ的「軽さ」や「お洒落さ」も盛り込まれ、放送当時、若い世代を中心に人気が沸騰しました。
本年5月に、劇場版第8作『帰ってきた あぶない刑事』が公開されるなど、今も多くの熱烈なファンに愛され続けています。
ここでは、そんな作品にスポットをあてた特別展示と12/15のセミナーの模様をご紹介します!
◆HISTORY OF ABUDEKA 1986~2024
今回のメインビジュアルは、ファンの方にはお馴染みの、番組オープニングで印象的なタカ&ユージの2ショットです。
向けられた銃口に心を撃ち抜かれつつ、横を見ると・・・テレビ放送開始から現在までの主な刑事ドラマを、「日本の刑事ドラマ100選」と題し、年表形式で紹介しています。
また、『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書・2024)の著者・太田省一さんに、刑事ドラマの歴史と「あぶ刑事」の刑事ドラマの歴史における役割という二つのコラムを執筆いただきました。
刑事ドラマの歴史を学んだあとは、いよいよ「あぶ刑事」コーナーへ!
TVシリーズや映画の名シーンを、作品ごとに写真パネルで紹介!関連グッズや映像ソフト、歴代登場車両ミニカーも展示しています。
注目すべきはずらーっと並んだ台本!フォーエヴァーを含む、テレビシリーズの台本を一挙に展示しています。
特に『あぶない刑事』第1話は、ロゴがなく、タイトルも(仮題)となっている貴重な準備稿も展示しているので、ぜひご覧ください!
これまでの作品だけでなく、今年公開の映画『帰ってきた あぶない刑事』についても紹介!映画で実際に使われた小道具も展示しています。
そして、特別展示の最後には、タカ&ユージの等身大アクリルスタンドが!都内で展示されていたことを知り、どうしても横浜にもお連れしたいと思っていたところ、関係各所の皆様のお蔭により、願いを叶えることができました!!
都内での展示を見逃したという方も、横浜の地で再会したいという方も、ぜひ写真撮影をお楽しみください。なお、上映会会場を除いて写真撮影可能です。
◆昭和~平成 名作刑事ドラマ上映会
もう一つの展示会場では、放送ライブラリー公開番組より、昭和~平成の名作刑事ドラマ上映会を実施しています。
日本初の刑事ドラマとされる『ダイヤル110番』などモノクロ時代の作品から、『踊る大捜査線』や『相棒』など誰もが知っている名作刑事ドラマなど、見応えたっぷりのラインナップをお楽しみください!もちろん「あぶ刑事」の上映もありますよ!
ここでは番組上映だけでなく、『太陽にほえろ!』『西部警察』などの刑事ドラマの台本も展示しています。「あぶ刑事」関連の展示は上映会会場にもありますので、こちらもお見逃しなく!!
◆公開セミナー 制作者に聞く!~名作ドラマシリーズ~「あぶない刑事」
特別展示開幕直後の12月15日、「あぶ刑事」に携わられた方々をお招きし、トークショーを開催しました!
セミナーの前半は、第20話「奪還」を大型スクリーンで上映。後半は、登壇者の皆様に登場いただき、撮影当時の裏話などをお話しいただきました。
この20話は、成田さんの記念すべき監督デビュー作です!デビューを祝し、伊武雅刀さんの出演、仙元誠三さんがカメラマンとして参加・・・など、スペシャル尽くしの回となりました。
そして、冒頭の夜の赤レンガ倉庫のシーンでは、照明さんたちの粋な計らいで、予算を度外視して、ライトがふんだんに使われました。
大川:(通常は)夜のシーン設定にすると、「予算がかかるから昼にしてほしい」と直される。(台本の)決定稿でも昼の設定だったのに、撮り始めたら赤レンガにライトがパーッと灯ってびっくりして、柏原さんに電話した
山路瞳役を務めた長谷部さんは撮影時を振り返り、
長谷部:当初は違う役で出演予定だったが、瞳役の方が急きょ降板した。ラッキーと思いつつも、撮影初日は(共演者のオーラや現場の雰囲気に)圧を感じた。この中に私がいていいのか?という気持ちが割と最近まであった
と、巡ってきたチャンスとそのプレッシャーを語ってくださいました。
長谷部さんのお父様は、本作でも指揮を執った、長谷部安春監督です。監督との撮影時の思い出について、
長谷部:クランクインまでは父とは役について話さなかった。家では「香苗ちゃん」だが、現場では「君」呼びだった
大川:若い頃は長谷部さんに反発していたけど、昔自分が長谷部さんに言われていた「あぶ刑事」の基本的なポリシーを、『帰ってきた あぶない刑事』の撮影時に今の若手スタッフに伝えている
長谷部監督は、第1話そしてオープニングとエンディングも担当しました。本作は各話で監督・脚本担当が異なるため、作品の骨格(パイロット版)を最初に決め、次のチームにバトンを渡しながら軌道修正する方法が採られました。その結果、序盤のハードな作風から段々と変化していきました。
大切な骨格を作り上げる作業について、
大川:舘(ひろし)さんにお会いした時、「あぶ刑事」のベースは長谷部さんが作ったとはっきり仰っていた
成田:情感の部分は捨てて、私生活は一切描かないという約束事。そして、危機が訪れてもお互いが信じあっている。この骨格を映像で作るために、軽やかに行くか、ハードに行くか、きっと長谷部さんは悩んだと思う
方向性が定まるまでの試行錯誤、ぶつかり合い、スケジュールや予算のやり繰りなど、「チームあぶ刑事」一丸となって作品を作り上げていく様子が、エピソードとともに目に浮かぶようでした。
「雰囲気が違う二人が共演した時に起きる化学反応を狙ったのではないか」という舘さんと柴田さんの共演。
成田:「どちらが一番」と決めるのではなく、「それぞれが主役」「二人で一番」という方向に段々と制作過程でなってきた
そのことは、長谷部監督が手掛けたオープニングとエンディングの映像にも表れています。
成田:オープニングのタイトルバックはユージ(柴田さん)で始まり、タカ(舘さん)のアップで終わる、つまりタカの目線という設定になっている。エンディングは、二人のアップが同数になっている
作中に織り込まれるタカとユージの掛け合いのアドリブもこの作品の魅力の一つです。
成田:最初は編集でカットしやすい箇所でアドリブを入れてきていたが、長いセリフの真ん中で入れるようになった。学習している、まいった(笑)
長谷部:恭兵さんは常に次の何か(面白いこと)を考えていた
セミナーの中では、イチオシの放送回やシーンを挙げていただきました。
長谷部さん
・40話「温情」:大下「瞳ちゃん、万事」瞳「急須」のやり取り
・41話「仰天」:鷹山「瞳!……伏せろ!」の声と同時に、港署占拠犯の腕を払い廊下の端に身を寄せる瞳。
→40話のアドリブは、段取り中に「急須ってある?」と柴田さんに突然言われたことで始まった。村川監督も喜んでいたので、本番でも自信をもってやった。ベンガルさんをはじめ皆さんが、アドリブの先をさらに繋いで助けてくれた。
成田さん・45話「謹慎」:鷹山が犯人を捕まえようとした瞬間、新幹線が新横浜駅を通過(※当時)するラストシーン
→この回は、カメラマンの藤澤順一さん(映画『舟を編む』など参加)と画作りこだわって撮った。
大川さん・4話「逆転」
→初めて脚本で参加した回。まだ皆さんが台本通りに演じてくれていた。
ちなみに柏原さんは、柴田さんと風祭ゆきさんのダンスシーンが印象的な、6話「誘惑」がイチオシ回とのことでした。
セミナーのラストは、皆さんお待ちかねのプレゼント抽選会へ。
当選者発表の前に、仲村トオルさんからのメッセージ動画をサプライズ上映しました!委嘱状や署訓のレプリカ、そして仲村さんご提供、町田透が愛用した港306車両・日産 セフィーロのトミカ など当選プレゼントを面白く紹介していただき、会場は爆笑の渦に包まれました。
ここで、参加者全員に緑茶のティーバッグのプレゼントがあることが発表されました!
パッケージに書かれた「瞳ちゃん お茶!」は、劇中で登場する近藤課長(演・中条静夫)の台詞です。
プレゼント紹介の際、長谷部さんの「瞳ちゃん?」の掛け声の後、マイクを客席に向けると・・・「お茶~!」と参加者の息ぴったりの掛け声が!素晴らしいコール&レスポンスを聴くことができました。
遠方からレパードで駆けつけたファンの方もいらっしゃり、放送開始から40年近く経っても、変わらず愛される偉大な作品であることを実感しました。熱いファンの皆さんのお蔭で、大変素敵なセミナーとなりました!
担当の私は、2024年4月に始まった再放送にどっぷり3か月半浸かったことがきっかけでハマった、「あぶ刑事」新規ファンです。作品と出会って数カ月でこのようなイベントを実現できたこと、大変ありがたいです!
イベント開催にあたり、ご尽力いただいた関係各所の皆様、本当にありがとうございました。
セミナーは終わってしまいましたが、特別展示は”まだまだ”続きます!
皆様のお越しをお待ちしています♪