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(動画更新)制作者に聞く! ~番組制作の現場から~『ハヤブサ消防団』開催報告(2023.12.2)

テレビ朝日のドラマ『ハヤブサ消防団』の制作者によるセミナーを12月2日に開催しました。

ドラマ『ハヤブサ消防団』は、今夏に放送された池井戸潤原作の田園ミステリーです。これまでドラマ化されてきた池井戸作品とは一味違った本作。ネット上では考察合戦が繰り広げられ、大変話題となりました。

セミナー前半では、ドラマの第1話を上映し、後半は制作スタッフが登壇。放送中の反響から、撮影中のエピソードなどたっぷりとお話を伺いました。

左から、司会:ペリー荻野さん、プロデューサー:飯田サヤカさん、演出:常廣丈太さん、
美術:加藤周一さん、プロデューサー:小路美智子さん
(トーク終盤では、演出の山本大輔さんにもご登壇いただきました)


演出の常廣丈太監督は「原作の精神を変えてはいけないと思いながら取り組んだ。小説を最初に読んで浮かんだ“風景”を大事にした」と、原作のあるドラマ作りに対しての想いを語りました。
また、飯田サヤカプロデューサーは「飲み屋さんで、とある町の消防団が話しているのを偶然聞いて、合流させてもらい、そこで感じた実際の消防団員の雰囲気から、キャスティングを考えた」というエピソードを明かし、会場の参加者を驚かせていました。

他にも、劇中で主人公・太郎が移住する「桜屋敷」や、ハヤブサ消防団メンバーの憩いの場「居酒屋サンカク」のセットのこだわり、そして、登壇者のイチオシシーンの撮影秘話など、ドラマ視聴者にはたまらない解説が盛りだくさん。

セミナーは終始和気あいあいとした雰囲気で、ドラマ撮影現場の楽しそうな様子が伝わって来ました。トークが予想以上に盛り上がり、質疑応答の時間が取れなかったので、参加者の方に記入いただいたアンケートで特に多かった質問に常廣監督が答えてくれました。

Q. 主人公の三馬太郎(演:中村倫也さん)が、カメラ目線で語りかける演出が好きでした。その演出の意図を教えてください。

A. いきなり見ている観客に話しかけてくる演出というのは舞台用語だと「第4の壁を破る」と言います。
舞台上では左右、後方に壁が配置されており、観客側は当然ですが開いています。でも舞台上ではそこにも「壁があるもの」として演者は芝居をしているわけです。
観客もそのつもりで見ていると突然演者が観客に向いて語りかけてくる。
当然びっくりします。いわゆる観客と演者の間で結ばれていた不文律が破られるからです。
壁をぶち破って、演者が「お前らが観ているのは分かっているぞ」と言ってくるようなものです。

これを映像に置き換えると、急にカメラを見て演者が話しかけてくるという形になります。
撮影しているレンズが観ている私たちの目だから。
この、傍観者の立場が急に当事者というか、登場人物と共犯関係になる感じ。それが今回の主人公が作家であるという設定にマッチしていると考え、手法として取り入れさせてもらいました。

三馬太郎は作家で、文章で読み手に語り掛ける仕事です。
ひょっとしたら「ハヤブサ消防団」は彼の回想録かも知れません。
だとしたら、映像作品で多用される説明的なナレーション(もちろん必要だからあるものですが)ではなく、視聴者に直接話しかければ、それは主人公の行動として視聴者に伝えているというお芝居にもなります。
あと単純に急にこっち見られたらびっくりしますよね。
町で興味深い人物をなんとなく見ていたら不意に目が合ってしまい慌てる…そんな経験が皆さんもあると思いますが、その感じがドラマの中で感じられ、八百万の町に観ている側も参加している気分になれる。
そういう願いを込めてのこの撮影手段を採りました。

【お詫び】当日お配りした登壇者プロフィールに誤りがありました。演出・常廣丈太監督の出身地は「愛媛県」です。関係者ならびにセミナーに参加された方々に深くお詫び申し上げます


来年1月には、特典映像付きのDVD&Blu-rayが発売され、作品のモデルとなった岐阜県加茂郡八百津町(劇中では“八百万町”でした)では、『ハヤブサ消防団』に関連した町おこしプロジェクトも既に始まっているようです。まだまだドラマの余韻は続きそう…!

(2023.12.27更新)
YouTubeに本セミナーの模様を公開いたしました!ぜひご覧ください。

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