企画展「体験!体感!!テレビ美術のうらおもて」開催レポート
4月7日まで放送ライブラリーでは、企画展「体験!体感!!テレビ美術のうらおもて」を開催しています!
放送ライブラリーでは、過去に度々テレビ美術にクローズアップした企画展を開催してきましたが、テレビ放送開始70年を経てもなお、テレビ美術の分野は現在進行形で進化し続けています。
この企画展では、テレビ放送70年の歴史の中で「伝統」で培われた技術に、デジタル技術などの新技術を加えた「革新」の時代を迎え、過去から現在へと培ってきたテレビ美術のつくり方や工夫、そして未来に向けての取り組みを紹介する内容となっています。
早速、テレビ美術の魅力を堪能できる展示をご紹介します!
◆展示内容
ウエルカムエリア
な、なんと放送ライブラリーに戦国時代の日本が出現!入口は塀重門・竹矢来、桜の人工樹木で装飾。お花見シーズンが終わる会期終盤でも、満開の桜を見ることができます!
その他、桜を描いた障壁画や甲冑も展示。NHKアートの時代劇美術チームの”すごワザ”が、既に入口から光っています!
ドラマ番組エリア
・大河ドラマ『光る君へ』清涼殿セット(一部再現)
ウエルカムエリアを抜けると、戦国時代から一気に平安時代へ!放送中の大河ドラマ『光る君へ』の清涼殿のセットを一部再現しています。平安絵巻から飛び出してきたような、豊かな色彩のセット・装飾を楽しめます!
清涼殿セットの裏には、庭園が出現!長期間の撮影中、草花を美しい状態に保つため、本物の中にフェイクを混ぜて造園しています。今回は、ある1か所を除き全てフェイクなのです!その答えは会場で確かめてみてください!
・土を使わず「土」を表現?
放送ライブラリーに断崖絶壁が!?!?なんとこの土壁は薄いゴム製のシートでできているのです!!左横から裏側を見ると・・・?
木製の枠の上にシートを被せるという構造!美術のうら側を覗き見ることができます。
以前はFRPや発泡スチロールを使っていたのですが、このシートの開発により後片付けも楽になり、さらに折りたためるので運搬しやすくなったそうです。
・ドラマ美術のうらおもて ~さわってみよう!「軽くてリアル」なパーツたち~
このコーナーでは、実際に使用されたセットのパーツに触れることで、軽量化&環境負荷削減を可能にするワザの数々を体感できます!
上で紹介した清涼殿に使われている柱も、中が空洞になっています。セットに使われるパーツは、見た目だけでなく持ち運びやすさも重視されています。
その他、新品なのに生活感をだすための「エイジング」加工を施すことができるシートなども展示しています。
・手描きをいかし続ける!
以前は全て手描きだった障壁画。現在は、花や鳥など構成パーツ毎に手描きの絵をデータ化し、それらを組み合わせて一つの障壁画を作っています。ウエルカムエリアに展示中の障壁画も、数パターンの桜で構成されています。
清涼殿の内側の障壁画も、手描きのパーツをデジタル技術で組み合わせて作られたものです。会場内には全て手描きの障壁画も展示していますので、見比べてみてください!
手描きの「伝統」を活かしながら、デジタルデータという「革新」が融合された、美術の”すごワザ”がここにあります!
・時代劇のバイプレイヤー (小道具・持道具展示)
小道具や持道具は、キャラクターを「もの」で表現する役割を果たす、ある意味役者のようなもの。繰り返し使用され、時には手が加えられて姿を変え、様々な作品に登場する――まさに「バイプレイヤー」です。
このコーナーでは、これまでに作品に登場した小道具・持道具を展示しています!ぜひ間近で、細部までこだわった小道具の数々をご覧ください!
・歴代ドラマタイトル年表(スケッチ・模型展示)
歴代の大河ドラマと連続テレビ小説のタイトルが並ぶ年表は圧巻!皆さんの思い出の作品はあるでしょうか?会場で見つけてみてください!
セットを作り上げるための基となる、セット模型やデザイン画も展示。特に、全体を俯瞰することができるセット模型は、映像とはまた異なる目線でセット見ることができます。
テレビ美術デザイナーたちの挑戦
・伊藤熹朔賞受賞作品
毎年、最も優れたテレビ美術がなされた作品に与えられる賞で、昨年第50回を迎えました。ここでは、歴代受賞作品をパネルで一挙紹介しています。
<関連HP>伊藤熹朔賞 - テレビ日本美術家協会 (jtvan.or.jp)
・デザイナーデスク ~デザインはこうして生まれる~
・第74回NHK紅白歌合戦MCセット
先ほどまでの土壁や清涼殿のセットとは打って変わって、デザイナーデスクを会場内に再現!細かいところまでじっくりご覧ください!
会場では実際に使用したセットを展示しています。セットの前で記念写真をお楽しみください♪
・より伝わりやすく ~ニュース番組のバーチャルセット、ユニバーサルデザイン~
ニュース番組や天気予報を、毎日目にする方も多いと思います。そんな普段見ている番組の中にも、実は随所に工夫が詰まっています。このコーナーでは、色や文字、そしてバーチャル技術を駆使し、誰にでも伝わりやすくするための数々の取り組みを紹介しています。
・環境にやさしい美術製作 ~サステイナブル素材の活用~
お馴染みの子ども番組や情報番組でも環境負荷削減の取り組みが行われています。ここでは、古紙と廃棄プラスチックのアップサイクル素材(※)などを利用したセットの一部を再現展示しています。
※アップサイクル:廃棄物に新たな価値を与えて、別の用途製品に再生すること
企画展のロゴが印刷されたパターン(フリップとも呼ばれる)は、ダンボール素材を使用しているので、使用後はダンボールにリサイクルされます。番組でも同じ素材のパターンが使用されています。
実は、会場内のパネルも同じダンボール素材を使用しています。今回の企画展自体も環境負荷削減に取り組んでいるのです!
このほか、第74回NHK紅白歌合戦のボーダレスパネル記念撮影コーナーやヨシタケシンスケさんの絵本をアニメ化した、『それしか ないわけ ないでしょう』の上映(原作 ヨシタケシンスケ/白泉社(MOE)© 2023 NHKアート)など盛りだくさん!
会場で実際にテレビ美術の”すごワザ”の数々を体験・体感いただくと、普段何気なく見ているテレビ番組の見方が変わること間違いなしです!
この機会にぜひ放送ライブラリーに足をお運びください!
◆関連イベント
・公開セミナー 制作者に聞く! 大河ドラマ『光る君へ』美術の魅力(応募受付は締め切りました)
・BeCYCLE 工作ワークショップ(3/17 23:59締切)
の二つのイベントの開催を予定しています。